Webデザイナーにコーディングスキルは必要?どこまでできれば良い?

webデザイナーにコーディングスキルは必要かどうかは長年議論されてきましたが、結論から言いますと、「必要」です。
ただし、人(特にグラフィックデザイナー寄りの方)によっては必要ない場合もあります。

本記事ではWebデザイナーにコーディングスキルは必要かどうか、必要な場合どこまでスキルを身につければ良いかについて詳しく解説していきたいと思います。
webデザイナーとUI/UXデザイナーの違いについてはUI/UXデザイナーとWebデザイナーの違い。必要なスキル、給料についてで詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

コーディングとは?

コーディングとは、一言で言えば、コンピューターに指示を出すための言語、つまりプログラミング言語を用いて指示を書き出す行為を指します。これらの指示は「コード」と呼ばれ、一連のコードがある特定のタスクを実行するプログラムを形成します。
コーディングは、ウェブサイトの構築、ソフトウェアの開発、データ分析、人工知能の学習など、様々な目的で使用されます。また、ロボットを操作したり、モバイルアプリを作成したりするためにも必要です。
コーディングができた場合のメリット
Webデザイナーがデザインのみならずコーディングをできた場合、以下のメリットがあります。
- デザインの実現性の判断ができる
- 効率性が上がる
- プロジェクトの理解度が深まる
- 市場価値が上がる
デザインの実現性の判断ができる
デザイナー自身がコーディングを理解していれば、そのデザインが実現可能であるかどうかを自分で判断することができます。これにより、デザインプロセスがスムーズに進み、実装に際して開発者とのやり取りがスムーズになります。
効率性が上がる
デザインとコーディングの両方を担当できると、開発者とのコミュニケーション時間を削減できます。また、開発者に依存せずに自分でプロトタイプを作成し、直接実装することが可能となります。
プロジェクトの理解度が深まる
コーディングを理解していれば、プロジェクト全体の流れや開発者の視点を理解することができるようになります。これにより、デザインと開発の間のギャップを縮めることができます。
市場価値が上がる
デザインとコーディングの両方のスキルを持つデザイナーは、市場での需要が高く、多くの場合、より高い報酬を求めることが可能です。
Webデザイナーが持つべきコーディングスキル

では具体的にwebデザイナーとしてどの程度のコーディングスキルが必要なのでしょうか。以下、webデザイナーが持つべき一般的なコーディングスキルをいくつか紹介します。
HTML
1<!DOCTYPE >
2<html>
3 <head>
4 <title>マイページのタイトル</title>
5 </head>
6 <body>
7 <h1>私の最初の見出し</h1>
8 <p>私の最初のパラグラフ。</p>
9 <img src="example.jpg" alt="サンプル画像">
10 <a href="https://www.example.com">これはリンクです</a>
11 </body>
12</html>
HTML(Hyper Text Markup Language)は、ウェブページの骨格を作るためのマークアップ言語です。webデザイナーとして、最低でも基本的なHTMLのタグとその使い方を理解することが必要です。
CSS
1body {
2 background-color: lightblue;
3}
4
5h1 {
6 color: navy;
7 text-align: center;
8}
9
10p {
11 font-family: 'Arial', sans-serif;
12 font-size: 20px;
13}
CSS(Cascading Style Sheets)は、HTMLで作成されたウェブページにスタイルを適用するための言語です。色、フォント、レイアウトなど、ウェブページの視覚的な側面を制御します。webデザイナーは、少なくとも基本的なCSSのプロパティとその使い方を理解することが必要です。
レスポンシブデザイン
1@media (max-width: 600px) {
2 body {
3 background-color: lavender;
4 }
5
6 h1 {
7 font-size: 24px;
8 }
9
10 p {
11 font-size: 16px;
12 }
13}
現代のウェブデザインでは、デバイスの種類や画面の大きさに関係なくウェブサイトが正しく表示されるようにするレスポンシブデザインが不可欠です。したがって、メディアクエリを使用してレスポンシブなスタイルを作成する方法を理解することが重要です。

レベル別に身につけるべきコーディングスキル
上記では一般的なwebデザイナーが身につけておくべきスキルを紹介しました。ただし、人によってどこまでのスキルを身につければ良いのかは変わってきます。

目的別に学ぶべきコーディングスキルを分けてみました。自分が何を目指してるかによってどこまでスキルを身につけるかは変わってきます。
一般的なwebデザイナー

効率性を上げたい方
開発者とのコミュニケーション時間を削減したり、構築しづらい無理なデザインをしたくない人といった方は、最低限(HTML,CSS)のものさえ知っておけば書けなくても問題はないでしょう。
ーHTML
基本的なタグと構造: HTMLの基本的なタグ(例えば、<div>
, <span>
, <img>
, <a>
など)とそれらがどのようにページ全体の構造を形成するかを理解することが重要です。これにより、デザイナーは自身のデザインが実際にどのようにマークアップされるかを理解し、開発者とのコミュニケーションをスムーズに進めることができます。
ーCSS
- 基本的なスタイリング: CSSの基本的なプロパティ(例えば、
color
,font-size
,padding
,margin
など)とそれらがどのようにページ全体の見た目を形成するかを理解することが重要です。これにより、デザイナーは自身のデザインが実際にどのようにスタイリングされるかを理解し、開発者とのコミュニケーションをスムーズに進めることができます。 - レスポンシブデザインの基本: レスポンシブデザインの基本原則(例えば、メディアクエリを使ったブレークポイントの設定)を理解することで、デザインが異なるデバイスサイズにどのように適応するかについて開発者と適切にコミュニケーションを取ることができます。
これらの基本的な知識は、開発者との間で生じる可能性のある誤解を最小限に抑えることを可能にし、デザインの適用と修正のプロセスを効率化します。
中級webデザイナー

市場価値を上げたい方
Webデザイナーが市場価値を上げるためには、HTMLとCSSの知識は必須です。これらのスキルは、Webページの構造と見た目を作るための基本的な言語です。HTMLとCSSに関しての知識はデザインがどのように実装されるかを理解するのに役立ちます。
ーHTML
HTML(HyperText Markup Language)はWebページの基本的な構造を作成するための言語です。HTMLを学ぶことで、ページ内の各要素がどのように機能し、どのように配置されるべきかを理解できます。
HTMLを学ぶ際には以下のような点に注目すると良いでしょう。
- 基本的なHTML構造(DOCTYPE宣言、html、head、bodyタグなど)
- HTMLタグとその属性(div、span、a、imgなど)
- フォーム要素(input、select、buttonなど)
- セマンティックHTML(header、nav、main、footerなど)
ーCSS
CSS(Cascading Style Sheets)はWebページのデザインやレイアウトを制御するための言語です。CSSを理解することで、デザインを実現するためにどのようなスタイルが必要かを把握できます。
CSSを学ぶ際には以下のような点に注目すると良いでしょう。
- CSSの基本的な文法(セレクタ、プロパティ、値)
- ボックスモデル(margin、border、padding、content)
- レイアウト技術(フレキシブルボックス、グリッド)
- メディアクエリを使用したレスポンシブデザイン
- CSS変数、アニメーション、トランジション
これらのスキルを身につけることで、Webデザイナーとしての市場価値は大いに向上します。また、JavaScriptの基礎知識を持つことも、より動的でインタラクティブなウェブサイトを作る能力を高めるためには有益です。
上級webデザイナー

Webディレクターを目指したい方
Webディレクターはプロジェクトの全体的な方向性を決定し、さまざまなチーム(デザイナー、デベロッパー、コンテンツ作成者など)を指導・調整します。直接的なコーディングを行うことは少ないかもしれませんが、一部のコーディングスキルを持っているとプロジェクトの理解とコミュニケーションが改善されます。以下に、Webディレクターとして役立つコーディングスキルをいくつか挙げてみます
- HTML/CSS:Webページの基本的な要素であり、Webディレクターとして、Webデザインと開発プロセスの基礎を理解するためにこれらの知識が必要です。
- JavaScript:JavaScriptは動的なウェブコンテンツを作成するための言語です。全ての詳細を理解する必要はありませんが、基本的な概念とその用途を理解すると、開発者とより効率的にコミュニケーションを取ることができます。
- CMS(コンテンツ管理システム):WordPressやDrupalなどのCMSに精通していると、これらのシステムを使用してWebサイトを管理し、編集する能力を持つことができます。
- SEO(検索エンジン最適化)の基本:Webディレクターは、SEOの基本的な側面(キーワードの使用、メタタグの最適化など)を理解して、ウェブサイトが検索エンジンで最適にパフォーマンスを発揮するようにする必要があります。
これらのスキルは、Webディレクターがより良い決定を下し、開発チームとのコミュニケーションを円滑にするのに役立ちます。しかし、もちろん、強力なコミュニケーションスキル、プロジェクト管理能力、戦略的思考もWebディレクターには必要です。
最上級webデザイナー

フロントエンドエンジニアとしても活躍したい方
フロントエンドエンジニアとは、ユーザーが直接触れるwebサイトやwebアプリケーションのインターフェースを開発します。これには、HTML、CSS、JavaScriptなどの技術を用いて、ユーザーの操作に応じて動的に変化するインタラクティブな要素の設計と実装が含まれます。
Webデザイナーがフロントエンドエンジニアとしても活躍するためには、HTMLとCSSのスキルだけでなく、より高度なスキルも必要になります。以下にいくつかの主要なスキルを挙げてみます。
- JavaScript: JavaScriptはWeb開発において最も一般的に使用されるプログラミング言語の1つで、ページのインタラクティブ性を向上させるために使用されます。JavaScriptの理解を深めることで、より複雑なユーザーインタラクションを作成したり、動的なコンテンツを表示したりすることが可能になります。
- JavaScriptフレームワークとライブラリ: React、Vue.js、Angularなどのフレームワークやライブラリを学ぶと、コードの再利用性を高め、大規模なWebアプリケーションをより効率的に開発することが可能になります。
- バージョン管理システム(Git): Gitはソースコードの変更を追跡し、複数人での開発を容易にするための重要なツールです。プロジェクトの大きさに関わらず、Gitを理解し使用することは重要です。
- パフォーマンスの最適化: 画像の最適化、遅延ロード、CDNの利用など、Webサイトのパフォーマンスを向上させる技術を理解することも重要です。
- APIとデータのやり取り: RESTful APIやGraphQLのようなAPIを使用してサーバーからデータを取得し、フロントエンドに表示する能力も重要です。
- テスト: 単体テスト、統合テスト、エンドツーエンドテストなど、品質を確保するためのテスト手法を学びます。
- ビルドツール: Webpack、Babel、Gulpなどのビルドツールの使用方法を理解すると、プロジェクトの構築とデプロイをより効率的に行うことができます。
これらのスキルを身につけることで、Webデザイナーはフロントエンドエンジニアとしてより高度な仕事をこなすことができます。ただし、これらのスキルは時間と労力を必要としますので、学ぶ順番とそれぞれのスキルの深堀りの度合いを自分のキャリア目標と現在のスキルレベルに合わせて計画することが重要です。

デザインのみならずフロントエンドの開発ができると市場価値はかなり高い!
コーディング技術を身につける方法
Webデザイナーがコーディング技術を身につけるためには、様々な方法があります。以下に主な方法をご紹介します。
- 書籍を使って身につける
- オンラインにある無料サイトを利用して学習する
- プログラミングスクールで学ぶ
書籍を使って身につける方法
書籍を使ってコーディング技術を効果的に学ぶためには、まず学びたい内容や言語、レベルに合った書籍の選択が大切です。学びたい目的を明確にすることで、適切な教材を選ぶことができます。
選んだ書籍を手に取ったら、一定のペースで進めるようにスケジュールを立て、単に読むだけでなく、サンプルコードを実際に入力して試す、練習問題に挑戦するなどのアクティブラーニングが非常に重要です。
また、学習中に出てくる疑問や新しい情報は、ノートにまとめることで知識の定着を助けます。もし疑問点や不明点が出てきたら、インターネットでの調査やコミュニティでの質問を積極的に行います。
学んだ知識をしっかり定着させるためには、定期的な復習や、それを元にした実際のプロジェクトの実践が有効的です。
オンラインにある無料サイトを利用して学習する方法
オンラインには様々な無料サイトがあり、それを利用して学習を進める方法は効果的です。
まずは、自分の学習目的と目標を明確に設定しましょう。この段階で「何を学びたいのか」「その知識やスキルをどのように活用したいのか」を具体的にイメージすることが重要です。
次に、その目的に合った学習サイトを選びます。以下おすすめの学習サイトです。
これらのサイト利用し、そのサイトのカリキュラムや内容に従って、順番に学習を進めます。ここで大切なのは、ただ読むだけでなく、実際に手を動かして実践的に学ぶことです。例えば、プログラミングを学ぶ際には、サンプルコードを書きながら、それを実行して結果を確認することが重要です。
プログラミングスクールで学ぶ
プログラミングスクールで学ぶことで得られる一番のメリットは、「わからないことを聞ける環境である」ということです。独学ではどうしても解決できない問題も、プロの講師が揃っているスクールでは、聞けばすぐに解決することができます。これは学習効率を何倍にも上げてくれます。
おすすめのプログラミングスクールに関しては【初心者用】フリーランスも目指せる!おすすめのプログラミングスクール16選で詳しく紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

グラフィックデザイナー寄りのwebデザイナー

デザイナーにもさまざまな種類がありますが、グラフィックデザイナー寄りの方であればコーディングの知識はなくてもOK。
デザイナーの種類について詳しく知りたい方はデザイナーの仕事の種類:あなたに合ったデザインキャリアを見つけようで解説していますので興味のある方はぜひチェックしてみてください。
グラフィックデザイナー寄りとはwebデザインのみならず以下のような仕事もこなすことができること。
- バナー
- DTP
- チラシ
- パンフレット
- 名刺
- パッケージ
- ロゴ
- プレゼンテーション資料
今の時代STUDIOやWIXなど、コーディングの知識がなくてもサイト構築ができてしまうツールがあるので、web回りに特化していない限り、コーディングの知識は不要だと言えます。

まとめ
いかがだったでしょうか。
Webデザイナーとしてコーディングができるようになるとメリットは多いです。
ただし、人によってはどこまでコーディングスキルを身につけるべきかが変わってくるので、自分の目標としているところを明確にし、その役職の需要にあったコーディングスキルを身につけていきましょう。


